不動産を売却するきっかけとして、相続を機に売却を検討される方は非常に多いと思います。自己の土地や建物を売却する場合と比べて、相続した不動産を売却する場合には、様々な問題が生じてきます。
自己の土地や建物を売却する場合は、当事者は自分の売却意志だけで売却できるのですが、相続した不動産を売却する場合には、不動産を相続した相続人全員が当事者となってきます。
このように相続による不動産売却は、売却に至るまでの相続人間の意思決定、遺産分割協議も含め様々な手続きが必要です。
相続における不動産売却の流れ
- 共同相続人間で、遺産分割協議をして、不動産を取得する相続人を決めます。
- 不動産の登記名義人を、遺産分割協議で決めた相続人に変更するため、相続による所有権移転登記を法務局に申請します。
- 不動産を売却するため、不動産業者に売却の仲介を依頼します。
- 買主が決まりましたら、売買契約を締結し、代金決済をします。
- 相続した不動産の名義を買主に変更するため、売買による所有権移転登記を法務局に申請します。
- 必要に応じて売却代金を相続人間で分配します。
相続における不動産売却手続き
相続が発生した場合、相続財産は相続人の共有財産になります。
遺産分割協議をしないで不動産売却手続きに移ろうとすると、まずは法定相続分に従って相続登記をしてから売却手続きに移ります。この時、相続人が比較的少ない場合は当事者が集まって売買契約を締結し、代金決済に臨み、売却による所有権移転登記をしていけばいいのですが、相続人が多い場合は、売買契約、代金決済、その後の売却による所有権移転登記などの手続きに、相続人全員が携わらなければなりませんので、時間がかかり上記手続きが思うように進まないことがあります。
しかし、遺産分割協議協議で、相続人の1人を代表として売却する場合は、その代表相続人のみが手続きに関わるため、手続きも比較的スムーズに進みます。
登記にかかる費用は、登録免許税が不動産固定資産評価額の1000分の4、それと司法書士などの専門家に依頼するのであれば手続き報酬がかかります。
相続登記が完了すると法務局から登記識別情報通知という書類が不動産ごと、登記名義人ごとに交付されます。この登記識別情報通知は売却の際の所有権移転登記に使用するので、大切に保管していてください。
その後実際に不動産がいくらくらいで売れるか売却価格を査定してもらい、不動産仲介業者を決めて、媒介契約を結び、買主が決まり次第、代金決済をします。代金決済とは売買契約の当事者が一同に集まって、売買代金の支払い、所有権移転登記にかかる書類の引き渡しなどを行うことです。
売主が実際に売買代金を受け取り、もしくは買主が売主に振り込み、売主が売買代金を確認したら、司法書士が登記を法務局に申請します。この時の売却にかかる登録免許税は通常買主が負担するため、売主が負担する事はありません。
あとは不動産会社に仲介手数料を支払い、不動産売却に伴って譲渡益が出ているようなら、譲渡所得税を納税していきます。
その後、売買代金を遺産分割協議書記載のとおりに他の相続人に分配していきます。
このように不動産を相続して売却していくためには、様々な手続きをこなしていかなければなりません。実際に相続登記から売却が完了するまでには、早くても3ヶ月くらいはかかかります。
当グループでは司法書士、行政書士、土地家屋調査士並びに不動産会社による相続手続きから売却手続き完了までのワンストップサービスを提供しています。
相続不動産の不明点や不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。