通常、不動産登記における不動産の名義変更とは、法務局に登記されている不動産の所有者名義を変更する手続きになります。
登記の名義変更が必要になるのは、不動産の所有権が他の人に移転したときになります。不動産の所有権が移転したときに行う登記のことを所有権移転登記といいます。
なお、不動産の所有者が変わるわけではないが、結婚や住所変更によって、氏や住所が変わることで、不動産の所有者の氏名や、住所が変わることがあります。この場合には所有権移転登記ではなく、登記名義人の氏名住所変更登記を申請することになります。
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登記の名義変更にかかる登録免許税は登記の原因によって変動します
不動産の所有権は、様々な理由によって移転します。所有権移転登記といっても、登記原因(売買、贈与、相続等)によって、登記申請書の書き方や添付書面、申請方法が変わってきます。
手続きにかかる登録免許税も登記原因が変わればそれに伴って変わります。
登記の名義変更の際にかかる登録免許税
登記の名義変更を行うときは、登録免許税を支払う必要があります。登録免許税は、申請人が法務局で登記申請を行う際にかかる国税で、登記申請書に収入印紙を貼付して納付します。登録免許税は課税標準金額に登記原因ごとの税率をかけて計算します。課税標準金額は、不動産の固定資産税評価額となります。
主な登記原因についての、税率は次の通りです。
- 売買:1000分の20(軽減適用無しの場合)
- 相続:1000分の4
- 贈与:1000分の20
登記の名義変更を司法書士に依頼すれば報酬が発生
登記申請は、司法書士が代理して行うことができます。司法書士に登記手続きを依頼する場合には、司法書士報酬がかかります。司法書士報酬は登記原因によって変わるだけでなく、依頼する事務所によっても変わってきます。
相続による登記名義の変更期限
相続による登記の名義変更(相続登記)は、いつまでにしなければならないのでしょうか。
2024年4月1日から改正民法が施行され相続登記が義務化されました。正当な理由なく怠れば10万円以下の過料が科される可能性があります。
相続により(遺言による場合を含みます。)不動産を取得した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。また、遺産分割協議の成立により、不動産を取得した相続人は、遺産分割協議が成立した日から3年以内に、相続登記の申請をしなければなりません。
相続登記を放置した際のデメリット
① 亡くなられた方の住民票(除票)や戸籍の附票が取得できなくなります
除票・戸籍の附票は5年の保存期限があります。(今後は150年に延長されます)
登記簿上の住所と亡くなった時の住所が異なる場合、除票等が取得できないと住所のつながりを証明できません。
この場合には、別途、法定の添付書面以外の証明資料を提出しなければならなくなります。
② 相続人が増え、遺産分割が複雑化する可能生が高くなります
最初の相続人間では、円満に相続財産の分割方法を話していたが、相続登記を放置しているうちにさらに相続が開始して、相続人が増えた状態で、いざ遠縁の相続人も含めて相続登記のための遺産分割をするとスムーズにいかない可能性が高くなります。
③ 相続人が認知症等になった場合、遺産分割協議が円滑に進められなくなります
例えば、相続人である高齢の妻が認知症になり、遺産分割をする判断能力がない場合、前提として家庭裁判所に成年後見人の申立てをしなければならなくなります。
成年後見人申立ての期間として一般的には3ヶ月程かかります。さらに、専門家に依頼した場合の報酬も10万円から20万円ぐらいかかります。
また原則的には、被成年後見人に法定相続分以上の財産を取得するように遺産分割しなければいけなくなります。
したがって、相続登記をしないでいて放置しておくと、遺産分割が円滑に進められなくなる可能生が高くなりますので、早めに手続きを行うことをお勧めいたします。
④ 正当な理由がないにもかかわらず相続登記を申請をしなかった場合には、10万円以下の過料が科されることがあります。
相続登記の流れ
①相続人調査と財産調査
まずは、法定相続人と相続の対象となる不動産を確定させるために以下の書類を収集します。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本及び住民票の除票
- 法定相続人の戸籍謄本
- 法定相続人の住民票
- 相続する不動産の固定資産税評価証明書
- 名寄せ帳
②遺産分割協議
法定相続人間で、相続の対象となる財産について遺産分割協議を行います。
③遺産分割協議書に署名捺印
法定相続人の印鑑証明書を収集し、遺産分割協議書に各相続人が署名捺印します。
④登記申請書の作成
登記の申請書や申請書に添付する上記の必要書類は、状況によって複雑に変化します。
⑤法務局への登記申請
登記の申請書に上記で集めた書類を添付して、相続する不動産を管轄する法務局に登記申請をします。提出した申請書及び添付書面に不備がなければ、登記申請してから1週間から10日前後で登記完了します。
不動産の名義変更はお任せください
最後になりますが、不動産の名義変更は、ご自身でも法務局に相談にして必要書類を収集し、申請書を作成して登記申請することは可能ですが、時間がない方や状況によっては、かなり複雑な案件になることもあります。
当事務所では、これまでに数多くの不動産の名義変更を行ってきておりますので、不動産の名義変更でお困りの方は、お気軽にご相談ください。